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【資料倉庫】容器入り及び生成器で作る水素水

2017.10.27 | Category: 資料倉庫

※国民生活センター 水素水関係資料(一部略)

容器入り及び生成器で作る、飲む「水素 水」-「水素水」には公的な定義等はな く、溶存水素濃度は様々です-

昨今、水素をうたった水(以下、「水素水」 とします。)に関連する商品が数多く販売され ています。 飲用する水素水としては、アルミパウチやア ルミボトル等に入れて販売されているものや、 水素水生成器により作るものなどがあります。 一部の商品のパッケージや取扱説明書には溶 存水素濃度が表示されていますが、実際に飲用 する際に、どのくらいの濃度になっているのか は、分かりません。 一方、PIO-NET(パイオネット:全国消費生 活情報ネットワークシステム)(注 1)には、飲 用する水素水に関する相談が 2011 年度以降 2,260 件(注 2)寄せられており、年々増加し ています。また、2013 年度以降、当センター にも消費生活センターから、「水素 水生成器を購入したが、水素水ができているの か疑わしいので調べてほしい。」等のテスト依 頼が複数件あり、消費者の関心も高いと思われ ます。 そこで、飲用水として販売されている水素水 (以下、「容器入り」とします。)10 銘柄と、飲 用の水素水を作るという水素水生成器(以下、 「生成器」とします。)9 銘柄、計 19 銘柄(注 3)について、表示・広告、溶存水素濃度(注 4) を調べるとともに、事業者へのアンケート調査 の結果も取りまとめ、消費者に情報提供するこ ととしました。 (注1)PIO-NET(パイオネット:全国消費生 活情報ネットワークシステム)とは、国民生活 センターと全国の消費生活センター等をオン ラインネットワークで結び、消費生活に関する 相談情報を積しているデータベースのことです。 (注 2)2011 年度以降受付、2016 年 9 月末日 までの登録分。2015 年度以降は消費生活セン ター等からの経由相談が含まれていません。 (注 3)テスト対象銘柄は、PIO-NET の事例 にあった銘柄を基に選んだわけではありませ ん。 (注 4)本資料では、水に溶けている水素ガス =水素分子の濃度を示しています。

主なテスト結果

溶存水素濃度等に関する表示・広告 •容器入りの10銘柄中7銘柄のパッケージには、 「高濃度」など、溶存水素濃度が高いことがう たわれており、溶存水素濃度の表示もありまし た。 •生成器の 9 銘柄中 5 銘柄で、商品の取扱説明 書等に、溶存水素濃度の表示がありましたが、 水質や水量等によりその値が変化する旨の表 示もありました。 溶存水素濃度 •開封時の溶存水素濃度を測定したところ、容 器入りのパッケージの溶存水素濃度表示に、充 填時や出荷時と記載のあった5銘柄のうち3銘 柄で、表示値より測定値の方が低い濃度でした。 また、パッケージに表示のない 3 銘柄のうち、 ペットボトルの2銘柄では溶存水素(水素ガス) は検出されませんでした。 •開封時に溶存水素が検出された容器入り 8 銘 柄を、未開封のまま 20℃で 1 カ月間保管した ところ、全ての銘柄で溶存水素濃度がやや低下 していました。 •開封時に溶存水素が検出された容器入り 8 銘 柄を、開封後に蓋(ふた)を閉めて放置した場 合には、溶存水素濃度が5時間後には30~60% 程度に、24 時間後には 10%程度に低下しまし た。 •生成器の取扱説明書等には、水質等により値 が変わる旨の記載もありましたが、取扱説明書 等に溶存水素濃度の表示のあった銘柄で、表示値よりも測定値の方が低くなったものがあり ました。 •生成器で作った水をコップに移し替えると、1 時間後に溶存水素濃度が約 50~60%に低下し ました。 効能効果等に関する表示・広告 •販売元等のホームページや直販サイトには、 容器入りは 10 銘柄中 8 銘柄で、生成器は 9 銘 柄中 7 銘柄で、水素や水素水に期待されている 効能効果に関する記載がありました。中には、 「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素 を無害化する」など健康保持増進効果等と受け 取れる記載があり、医薬品医療機器等法や健康 増進法や景品表示法に抵触するおそれがあり ました。 •販売元のホームページや直販サイトには、商 品について、容器入りの 4 銘柄、生成器の 2 銘 柄で、「アトピーに 痒(かゆ)い部分に水素 水をつけて下さい」など健康保持増進効果等と 受け取れる記載があり、医薬品医療機器等法や 健康増進法や景品表示法に抵触するおそれが ありました。また、1 銘柄の商品のパッケージ にも、同様の記載がありました。

事業者へのアンケート調査

•容器入りのうち、ペットボトルの 2 銘柄以外 は、加圧下で水素ガスを充填したものでした。 また、生成器では、水素以外にも生成されるも のがあるとの回答でした。
•回答のあった全ての事業者で、水素の溶存や 濃度を確認していましたが、方法は様々でした。
•一般の消費者が、生成器が正常に作動してい ることを確認する方法は、「泡が出ていること」 や、「pH や本体の目安表示で確認」などの回答 がありました。
•想定する溶存水素濃度で飲用するためには、 開封後や生成後は、速やかに飲むとの回答が多 く、アルミパウチの銘柄の 6 社全社で「飲みきれない場合は、空気を抜いてしっかり蓋を閉め る」という回答でした。
•水素水の飲用により期待できる効果は、「水分 補給」が最も多い回答でした。
•自社商品の水素水や生成器で作った水の機能 性について調査、研究していると回答したのは、 17 社中 9 社でした。

消費者へのアドバイス

•水素水には公的な定義等がなく溶存水素濃度 も様々です。また、特定保健用食品(トクホ) や機能性表示食品として許可、届出されたもの は、現在のところありません。
•容器入り水素水のパッケージに表示されてい る溶存水素濃度に、充填時や出荷時とある場合 は、飲用する時の濃度とは限りません。また、 水素水生成器も水質や水量等により変わる旨 の表示があり、必ずしも表示どおりの濃度にな るわけではありません。
•水に溶けている水素ガス(水素分子)は、容 器の開封後や水素水生成器で作った後の時間 経過により徐々に抜けていきます。

事業者への要望

•販売元等のホームページや直販サイト、商品 のパッケージに、飲用により健康保持増進効果 等があると受け取れる記載がありました。医薬 品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵 触するおそれがありますので、表示の改善を要望します。
•容器入り水素水のパッケージに溶存水素濃度 を表示する場合は、賞味期限まで保証できる濃 度を記載するよう要望します。
•水素水生成器の取扱説明書や付属のパンフレ ット等に溶存水素濃度の表示のあった銘柄で、 表示値よりも測定値の方が低いものがありま した。使用する水質や水量により変わる旨の記 載はありますが、どう変わるかが分かりません。表示により具体的な情報提供をするよう要望 します。

行政への要望

•販売元等のホームページや直販サイト、商品 のパッケージに、飲用により健康保持増進効果 等があると受け取れる記載がありました。医薬 品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがありますので、事業者に対し、 表示の改善を指導するよう要望します。

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